何事があろうが、病難に襲われようと、運命難に陥ろうと、心がこれを相手とせず、またかかわり合いをつけず、いいかえると勝とうともせずまた負けようとも思わず超然として穏やかな状態となって初めて、理想とする積極心=平安を確保しえた心的状態=絶対的の強さを持つ心となり得るのである。
それから、今一つ、特に必要なことは、たとえ自己自身の心がそうなりえたとしても、いかなる場合にも自己の心的状態で、他人の心的態度をおしはかっては断然不可であるということである。
これをもっとわかりやすくいうならば、自分に対しては、常に厳然としてつつしまねばならぬことは何よりも必要のことであるが、自己以外の人に対しては、あくまで清濁併せ呑むという寛容さを失ってはならない。