「悩み」という心理現象は、決して発作的に偶発するものでなく、必ずや、その心の中に、何かの取り越し苦労かまたは消極的な思考、すなわち憤怒、恐怖、悲観、増悪、怨恨、嫉妬、復讐、憂愁、煩悶、苦労等々というような消極的感情情念によっておこる。その大部分は、潜在意識の整理が完全に施されていないからの結果なので、要約すれば潜在意識の整理が不完全だと、本能心意の中に不要なものが多分に存在することとなるために、それが素因となって、前掲のような種々の消極的感情情念となり、実在意識領域に発現し、その結果、いわゆる「悩み」という値打ちのない心理現象となるのである。
すなわち「悩み」のないときは、心頭に取り越し苦労というような思念現象も、またその他の消極的感情情念も少しも発生していない。だから、この現象に照らし合わせて考えるとき、明るい朗らかな人生に生きるのには、まず悩みという心理現象を心に持たせぬよう、平素正しい準備を施すことが、何よりも肝心なのである。