多く言うまでもなく、人生はどこまで行っても現実の世界なんだから、これを忘れちゃいけないんだよ。死んでから後が人生じゃないんだから。死んでから後のことまで考えようとするのは宗教なんだ。天風哲学は死んだ後のことなんか考えやしないもん。死んだ後というものは明日以後のことなんだもんね。現在ただ今生きてるこの人生というものを考えていくということが私の主義であり、主張でもあるんだから。
生きていることは現実なんだ。どんな人間でも今現在、自分自身で死んでいるとは思いやしないだろう。生きている。息している、血がかよっている、ものを言っている、糞しょんべんたれる、恋をする、何じゃかんじゃ、みんな現実なんだ。現実はどこまで行っても、現実の力以外のものでは解決できないんだよ。
べつに私は宗教をけなすわけじゃないんだけれども、ただ、見えない、わけのわからないものにお頼みして、おすがりして、それを現実だと思っている人は、観念のなかに、ある錯誤があるんです。どこまで行っても、つねりゃ痛い、ひっかきゃ痒い、切りゃ赤い血がでるこの生命を生かしいる刹那、刹那は、宇宙真理という現実のもので解決していかなきゃいけないのであります。